昆虫の前大脳キノコ体の機能的部域性の比較生理形態学的研究
研究課題情報
- 体系的番号
- JP11640688 (JGN)
- 助成事業
- 科学研究費助成事業
- 資金配分機関情報
- 日本学術振興会(JSPS)
科研費情報
- 研究課題/領域番号
- 11640688
- 研究種目
- 基盤研究(C)
- 配分区分
-
- 補助金
- 審査区分/研究分野
-
- 理学 > 生物学 > 動物生理・代謝
- 研究機関
-
- 福岡大学
- 研究期間 (年度)
- 1999 〜 2000
- 研究課題ステータス
- 完了
- 配分額*注記
- 3,200,000 円 (直接経費: 3,200,000 円)
研究概要
昆虫の脳におけるキノコ体は、行動・記憶の高次中枢と目され、特にキノコ体傘部のニューロパイルは種々の感覚情報が入力する多種感覚情報の連合野として重要な機能を持つと考えられている。本研究では、生息・行動様式の異なる昆虫のキノコ体に入力する神経繊維のモダリティーとキノコ体傘部での終末部域の発達度合いおよび終末様式をしらべることにより、キノコ体の総体としての役割とその内部での機能分担を明らかにする事を目指した。ゴキブリ・ミツバチ・コオロギのキノコ体において、触角感覚情報と視覚情報がどのように終末しているかを比較検討し、次のような結果が得られた。ゴキブリのキノコ体傘部ニューロパイルは中大脳投射ニューロンの終末様式から、同心円状に周縁部、中間部、基部に分けられる。さらに、その他の入力ニューロンの要素から、少なくとも傘部ニューロパイルの内層と外層にも分けられる。触角からの嗅覚情報はおもにキノコ体傘部ニューロパイルの周縁部と中間部に終末し、その終末部域は傘部ニューロパイルの3分の2以上の容積を占めることが観察された。触角からの機械感覚情報については、キノコ体傘部ニューロパイルの外層に入力することが示唆された。一方、ゴキブリの視覚情報に関しては、キノコ体傘部に終末する視葉からのニューロンは比較的少数で、終末部域も嗅覚情報に関するニューロン終末部域と異なり、傘部ニューロパイルの内側に見られる。ミツバチでは、キノコ体傘部は外部形態から唇部、襟部、基底環の3層に分けられる。ミツバチの場合は、ゴキブリと異なり視葉からの入力繊維が終末する襟部のニューロパイルが大きな容積を占め、嗅覚情報の終末部域と考えられる唇部のニューロパイルは比較的小さい。コオロギについては、キノコ体への入力ニューロンの詳細はまだ解っていないが、中大脳における触角からの機械感覚の入力部域が、かなり大きな割合を占めることが示唆された。