氷・氷摩擦と高密度雪圧縮特性の研究
研究課題情報
- 体系的番号
- JP14390002 (JGN)
- 助成事業
- 科学研究費助成事業
- 資金配分機関情報
- 日本学術振興会(JSPS)
科研費情報
- 研究課題/領域番号
- 14390002
- 研究種目
- 基盤研究(B)
- 配分区分
-
- 補助金
- 審査区分/研究分野
-
- 広領域
- 研究機関
-
- 北海道大学
- 研究期間 (年度)
- 2002 〜 2004
- 研究課題ステータス
- 完了
- 配分額*注記
- 10,100,000 円 (直接経費: 10,100,000 円)
研究概要
氷・氷間に働く摩擦力は温度や運動速度により大きく変化することが知られている。そこで氷・氷間摩擦が及ぼす雪の抵抗力への影響を実験的に調べた。また、雪の貫入抵抗はこれまで400kg/m^3以下の密度でしか計測されておらず、400kg/m^3以上の高密度はデータの空白区となっている。高密度雪は雪崩デブリ、圧雪路面、氷微惑星等の研究で重要である。そこで高密度雪の圧縮貫入実験を行ない、その力学的性質と変形形態を調べた。 雪の摩擦抵抗:-10℃における流速0.5-500mm/sでの雪の抵抗力測定では、流れる雪粒子から受ける抵抗力を様々な深さに挿入したシリンダーで計測した。その結果、流速の増加とともに抵抗力は小さくなることがわかった。一方、-50℃以下の低温で行なった実験では抵抗力に速度依存性は検出されなかった。氷・氷間の摩擦係数は摩擦熱による表面融解により、速度上昇とともに急激に減少する。そして融解による水膜の厚さが摩擦係数を制御すると考えられている。観測された速度依存性はこの氷・氷間の摩擦係数の速度変化と同じ傾向であり、氷粒子間の摩擦により雪の抵抗力が制御されていることを意味する。このように500mm/s以下の流速では、.流体とはまったく異なる粒子流の性質が.現れることがわかった。 高密度雪の圧縮貫入:-10℃における圧縮貫入試験では貫入速度1〜300mm/sの間で高密度雪の圧縮弾性係数と変形モードの出現条件(貫入速度、雪密度)を明らかにした。これまで400kg/m^3以下の低密度雪において高速度では破壊変形が起こり、低速度では塑性変形が観察されてきた。この境界が密度800kg/m^3まで外挿されることが実験により確認された。また、圧縮弾性率は密度により3桁以上変化し、高密度になると氷の値に漸近する。雪の粘弾性的性質を反映して、弾性率の貫入速度依存性も現れることがわかった。また、貫入速度が遅く高密度雪が塑性変形を示す時、粘弾性的性質はより顕著になる。これまで雪はニュートン流体として近似されてきたが、高密度雪ではビンガム流体もしくは非ニュートン流体として振る舞うことがわかった。