ドイツ第三帝国における経済の脱ユダヤ化(アーリア化)政策に関する研究

研究課題情報

体系的番号
JP16520457 (JGN)
助成事業
科学研究費助成事業
資金配分機関情報
日本学術振興会(JSPS)

科研費情報

研究課題/領域番号
16520457
研究種目
基盤研究(C)
配分区分
  • 補助金
審査区分/研究分野
  • 人文社会系 > 人文学 > 史学 > 西洋史
研究機関
  • 東亜大学
研究期間 (年度)
2004 〜 2005
研究課題ステータス
完了
配分額*注記
1,800,000 円 (直接経費: 1,800,000 円)

研究概要

本研究は第三帝国における経済の脱ユダヤ化政策の成立と展開過程を分析したものである。同政策はユダヤ人の運命とともに第三帝国の経済社会に大きな影響を与えたにもかかわらず、ホロコースト研究の中で従来さほど注目されてこなかった。しかし近年の社会史研究の進展により、普通の状況下で「合法的に」遂行された経済の脱ユダヤ化は、第三帝国のユダヤ人政策の特異かつ重要な局面として、より綿密な分析が求められている。 経済の脱ユダヤ化が政策として確立したのは1937年末である。この背景には次のふたっの流れがあった。ひとつは四力年計画下の原料・労働力不足の中で、繊維経済部門をはじめ業界再編の動きが活発になり、企業併合の手段としての「アーリア化」が頻発したこと。いまひとつはライヒ経済省が1937-38年以降実施した、手工業と商業の部門における供給過剰問題の解決の動きである。その際不急不要の産業部門とされた繊維産業(とくに小売業)は、ユダヤ人の関与する割合が高かったため、経営の閉鎖または合併、業界の再編成が、ユダヤ人政策として立ち現れることになった。ユダヤ経営の定義問題が、衣料産業における反ユダヤ利益団体の活動の激化と同時期に議論され始めたのは、このためである。 他方こうした動きはライヒ経済省の政策的対応にも影響を与えていた。「ユダヤ人保護課」として知られた「経済への不当介入防止課」は、この過程で「特別課ユダヤ人問題」として経済組織局長の直轄とされ、さらに「業績向上部」に編成され、最終的に「経済組織及び社会的経済問題部」の「経済の脱ユダヤ化」課に姿を変えた。ここには、ユダヤ経営の定義問題が、経済再編を通した業績向上努力の一環に組み入れられたことで、経済の脱ユダヤ化が政策として積極的に推進されるようになった経緯が示されている。少なくとも国家指導部レベルでは、経済の脱ユダヤ化とアーリア化は厳密に区別されていた。

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