デンマーク領西インド諸島における自由黒人の果たした歴史的役割について
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- 佐保 吉一
- 研究代表者
- 東海大学
研究課題情報
- 体系的番号
- JP16K03129 (JGN)
- 助成事業
- 科学研究費助成事業
- 資金配分機関情報
- 日本学術振興会(JSPS)
科研費情報
- 研究課題/領域番号
- 16K03129
- 研究種目
- 基盤研究(C)
- 配分区分
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- 基金
- 審査区分/研究分野
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- 人文社会系 > 人文学 > 史学 > ヨーロッパ史・アメリカ史
- 研究機関
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- 東海大学
- 研究期間 (年度)
- 2016-04-01 〜 2020-03-31
- 研究課題ステータス
- 完了
- 配分額*注記
- 2,860,000 円 (直接経費: 2,200,000 円 間接経費: 660,000 円)
研究概要
デンマーク領西インド諸島では17世紀後半より、黒人奴隷によるサトウキビ栽培が始まり、奴隷制社会が築かれた。その中で、自由黒人(フリーブラック)は、他国植民地とは異なりフリーカラードと呼ばれる有色自由人に含まれることが明らかになった。フリーカラードは白人と黒人奴隷の中間に位置し特定地域に居住した。さらに一定の所有権も有する中、18世紀後半から人口が増加、当時の総督P.フォン・ショルテンは奴隷解放後の社会安定も考慮して政策立案を行い、1834年には法的に白人と平等の地位を与えた。結果的に1848年の奴隷解放及び解放後の社会、1878年の奴隷反乱においてもフリーカラードは一定の役割を果たしている。
本研究ではデンマーク領西インド諸島におけるフリーカラードという階層の規模や役割を実証的に調査し、彼らが果たした歴史的役割を明らかにした。その上で彼らを現代の目から見た歴史の中に位置づけた。具体的にはデンマーク領西インド諸島におけるフリーカラードの定義と位置づけを行なったことにより、当時の他国植民地の奴隷制社会との比較が可能となった。それによってグローバルな観点からデンマーク領西インド、大きくはデンマークによる植民地支配を考察することが出来るようになった。また、本研究から得られた知見は、日本においては未だ発展途上の分野であるカリブ海域史を考えるうえでも示唆に富む。