構造-電子相転移の併発による動的サーマルインシュレーション材料の開発
研究課題情報
- 体系的番号
- JP16K14392 (JGN)
- 助成事業
- 科学研究費助成事業
- 資金配分機関情報
- 日本学術振興会(JSPS)
科研費情報
- 研究課題/領域番号
- 16K14392
- 研究種目
- 挑戦的萌芽研究
- 配分区分
-
- 基金
- 審査区分/研究分野
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- 理工系 > 工学 > 材料工学 > 無機材料・物性
- 研究機関
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- 九州大学
- 研究期間 (年度)
- 2016-04-01 〜 2019-03-31
- 研究課題ステータス
- 完了
- 配分額*注記
- 3,640,000 円 (直接経費: 2,800,000 円 間接経費: 840,000 円)
研究概要
本研究では、低温で熱を蓄え、高温では熱を急速に放散するような大きな熱伝導率変化を示す熱制御材料の探索を目的とした。 200 ℃付近で金属-絶縁体転移を示すTi2O3の熱伝導率は400℃から800℃にかけて約3倍程度増大したが、導電率の温度依存性は大きなヒステリシス挙動を示し、原因は内部の微細なクラックが開閉するメカニカルな変化にあると推定された。出発原料に微粒化したTi2O3を用い、焼結時の温度プログラムを最適化することで、導電率のヒステリシスを解消できた。熱伝導率は400 ℃から800 ℃の間で0.69→2.49 W/m Kと3.6倍の増大が得られ、熱制御材料として有望であることを見出した。
熱エネルギーの蓄積と放散を自律的に制御可能な「熱制御材料」への注目が高まっている。例えば、自動車用排ガス浄化触媒は、エンジン始動時には触媒の温度が十分に上がっていないため排ガス浄化率が低く、触媒の速やかな暖機が必要とされる一方で、自動車走行条件によっては触媒が1000℃近い高温の排気に曝されることがあり、迅速な熱の放散が必要という相反した課題がある。低温では熱を蓄積し、高温では迅速に熱を放散して過熱を防止する熱制御材料を用いれば、対象物質を自律的に適正温度範囲に収めることが可能となる。本研究では、構造相転移と金属-絶縁体転移の併発により熱伝導率の急峻な変化の実現に挑戦した。