野生チンパンジーとボノボの行動レパートリーの比較による文化的行動の研究
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- 橋本 千絵
- 研究代表者
- 京都大学
研究課題情報
- 体系的番号
- JP17570193 (JGN)
- 助成事業
- 科学研究費助成事業
- 資金配分機関情報
- 日本学術振興会(JSPS)
科研費情報
- 研究課題/領域番号
- 17570193
- 研究種目
- 基盤研究(C)
- 配分区分
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- 補助金
- 審査区分/研究分野
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- 生物系 > 生物学 > 人類学 > 人類学
- 研究機関
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- 京都大学
- 研究期間 (年度)
- 2005 〜 2006
- 研究課題ステータス
- 完了
- 配分額*注記
- 1,600,000 円 (直接経費: 1,600,000 円)
研究概要
これまで30年以上にわたるアフリカ各地域における野生チンパンジーの研究から、チンパンジーの行動レパートリーには地域によって変異があることがあり、これらの行動の地域変異が世代を超えて伝承されていく、つまり文化が存在することが示唆されてきた。本研究は、これまで研究代表者が研究を行ってきたウガンダ共和国カリンズ森林保護区の野生チンパンジー1集団、コンゴ民主共和国ワンバ地区の野生ボノボ1集団について、行動レパートリーを比較することによって、文化的行動の候補を特定し、それぞれの種における文化的行動の進化を明らかにすることを目的とする。ボノボ、チンパンジーについて、これまで集めた行動学的データを整理し、エソグラムのデータベースを作成した。調査対象のチンパンジー集団は、ここ10年あまりで調査が開始された集団であるが、この集団においても、Antdippingや蜂蜜とりなどの道具使用行動があることが明らかになった。さらに、両者の性行動のパターンについて比較を行い、ボノボでは、メスが交尾を含む社会交渉に関して受動的であるのに対して、チンパンジーではメスが積極的に交尾を含む交渉を開始したり、オスの誘いかけにも積極的に反応することが明らかになった。この結果は、Primates誌に発表した。また、2007年6月にウガンダで開かれた国際霊長類学会に参加し、研究成果を発表した。さらに、チンパンジー、ボノボとも、他の地域で研究を行っている研究者と協力して、複数地域・複数集団を含むそれぞれの種全体をカバーするエソグラム作りにも参加した。現在この結果を用いて、論文を作成中である。