高緯度地域の昆虫は素早く成長するか?:外来種を用いた局所適応の解明
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- 小島 渉
- 研究代表者
- 山口大学
研究課題情報
- 体系的番号
- JP17H06901
- 助成事業
- 科学研究費助成事業
- 資金配分機関情報
- 日本学術振興会(JSPS)
- 研究課題/領域番号
- 17H06901
- 研究種目
- 研究活動スタート支援
- 配分区分
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- 補助金
- 審査区分/研究分野
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- 生物系 > 生物学 > 基礎生物学 > 生態・環境
- 研究機関
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- 山口大学
- 研究期間 (年度)
- 2017-08-25 〜 2019-03-31
- 研究課題ステータス
- 完了
- 配分額*注記
- 2,730,000 円 (直接経費: 2,100,000 円 間接経費: 630,000 円)
研究概要
青森県から台湾までの約15地域個体群のカブトムシ幼虫を25℃の共通環境で飼育し、体重を5日おきに測定し、得られたデータから各個体の成長曲線を推定した。そして緯度と成長曲線のパラメータとの関係を調べた。その結果、緯度と成長速度の間に強い正の関係が見られた。高緯度地域での素早い成長は、冬が訪れる前にできるだけ大きく成長するための適応だと考えられる。しかし、北海道の外来個体群については、侵入してから50年間で成長速度が変化した証拠は見つからなかった。幼虫の成長速度は素早く進化する形質ではないことが示唆された。
幼体の成長速度と緯度との関係は、これまで特に昆虫では少数の種でしか調べられてこなかった。また、その結果もさまざまであったが、その大きな原因として、成長速度の推定方法の不正確さが考えられていた。本研究では、体重の測定ポイントをできるだけ増やし、成長曲線を高い精度で推定することに成功した。その結果、緯度と幼体の成長速度の間に強い正の相関を見出した。本研究により、幼体の成長速度の地域変異がどのようにして進化してきたかを考える上で重要な知見となる。