指揮者C・クラウスとナチス・ドイツ時代のラジオ番組制作に関する実証的研究
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- 佐藤 英
- 研究代表者
- 日本大学
研究課題情報
- 体系的番号
- JP17K02378 (JGN)
- 助成事業
- 科学研究費助成事業
- 資金配分機関情報
- 日本学術振興会(JSPS)
科研費情報
- 研究課題/領域番号
- 17K02378
- 研究種目
- 基盤研究(C)
- 配分区分
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- 基金
- 審査区分/研究分野
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- 人文社会系 > 人文学 > 芸術学 > 芸術一般
- 研究機関
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- 日本大学
- 研究期間 (年度)
- 2017-04-01 〜 2022-03-31
- 研究課題ステータス
- 完了
- 配分額*注記
- 4,550,000 円 (直接経費: 3,500,000 円 間接経費: 1,050,000 円)
研究概要
本研究で主として検証したのは、ナチス・ドイツ時代に指揮者クレメンス・クラウスがベルリン、シュトゥットガルト、ウィーンにおいて行った活動である。ドイツ語圏のアーカイブに残されているドキュメントをもとに、当時のラジオ番組の制作過程について、多くの事例を示すことができた。また、当時の新聞等を参照し、収録された番組がいつ放送されたか、その番組がどのように受容されたかについても考察を行った。 以上の検証により、クラウスがナチス・ドイツ時代のラジオ放送における多彩な音楽プログラムの制作に積極的に関与していたこと、ナチスがその演奏を聴取者へのアピールとして積極的に利用していたことを示すことができた。
本研究の学術的意義は、現地のアーカイブ等で保存されている未刊行の一次資料を多数用いながら、これまで十分に研究が行われていなかったナチス・ドイツ時代のラジオ放送におけるクラシック音楽番組の実態と当時の音楽文化の実情の一端を、クレメンス・クラウスを中心に実証的に検証したことである。 本研究の成果は、音楽をプロパガンダのツールと位置付け、マスメディアを通じて積極的に活用していたナチスの戦略の一端を垣間見せるものでもある。この点に着目すれば、本研究で扱った内容は、現代におけるマスメディアをめぐる諸問題を考える際、歴史から得られる事例として、アクチュアルな社会的意義を持ち得るように思われる。