保安処分の対象者別効果測定と総合的再犯予防策の具体化に関する研究
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- 井上 宜裕
- 研究代表者
- 九州大学
研究課題情報
- 体系的番号
- JP17K03433
- 助成事業
- 科学研究費助成事業
- 資金配分機関情報
- 日本学術振興会(JSPS)
- 研究課題/領域番号
- 17K03433
- 研究種目
- 基盤研究(C)
- 配分区分
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- 基金
- 審査区分/研究分野
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- 人文社会系 > 社会科学 > 法学 > 刑事法学
- 研究機関
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- 九州大学
- 研究期間 (年度)
- 2017-04-01 〜 2024-03-31
- 研究課題ステータス
- 完了
- 配分額*注記
- 3,510,000 円 (直接経費: 2,700,000 円 間接経費: 810,000 円)
研究概要
本研究は、各保安処分の対象者別効果を測定し、総合的再犯予防策の具体化を図ろうとするものである。これまでの研究から、フランス及びドイツをはじめとするヨーロッパ諸国では、刑罰・保安処分二元主義の前提の下、保安処分が多様化(「保安監置」、「移動型電視監視」、「強制入院」、「社会内司法監督」等)し、これらの保安処分が刑罰と併科される方向(「択一的二元主義から重畳的二元主義へ」)に傾倒している現状が見て取れる。再犯予防策を具体化するためには、複雑化した保安処分相互の関係、及び、各保安処分の刑事司法における位置づけの解明が不可欠であるが、事後的保安監置のように、純然たる保安処分とみられていた類型に少なからず刑罰的側面が存在すること、他方で、保護観察のように、刑罰執行と密接不可分と考えられる類型に保安処分的側面が存在することが明らかになった。 日本は、建前上、刑罰一元主義を採用している。しかしながら、精神保健福祉法上の措置入院や医療観察法上の指定入院といった、保安的色彩の強い措置も多く、刑罰的措置とされているものの中にも、保安的側面を伴うものもある。各措置の有する両側面を精確に捕捉した上で、適用場面を具体的に特定していかなければならない。 総合的な再犯予防策としては、このような刑罰と保安処分の複合的性質を有する措置も十分に措定されうるところであるが、その前提として、二重処罰の禁止、危険性の測定等、それぞれの措置に伴う縛りにも注意を払う必要がある。