ブラインド音源分離技術を活用した絶滅危惧昆虫の分布同定手法の開発
研究課題情報
- 体系的番号
- JP17K20068
- 助成事業
- 科学研究費助成事業
- 資金配分機関情報
- 日本学術振興会(JSPS)
- 研究課題/領域番号
- 17K20068
- 研究種目
- 挑戦的研究(萌芽)
- 配分区分
-
- 基金
- 審査区分/研究分野
-
- 環境保全対策およびその関連分野
- 研究機関
-
- 九州大学
- 琉球大学
- 研究期間 (年度)
- 2017-06-30 〜 2023-03-31
- 研究課題ステータス
- 完了
- 配分額*注記
- 6,240,000 円 (直接経費: 4,800,000 円 間接経費: 1,440,000 円)
研究概要
本課題で対象とする昆虫のイシガキニイニイは,八重山諸島の石垣島北海岸に位置する米原地区のヤエヤマヤシ群落とその周辺でのみ生息している絶滅危惧種である.本種の野外モニタリングのため,鳴き声を手がかりに,個体数の推定を試みている.セミは複数個体が同時に鳴くことが多く,近縁種が近くで鳴く場合などは,音を発している個体の位置や個体数を判定することが困難であることから,本研究では多くの音の中から聞きたい音のみを分離抽出する音源分離技術の活用を試みた.調査期間中にイシガキニイニイの羽化は認められなかったことから,他種のセミを対象に音源分離の有効性を確かめた.また音声解析アプリのプロトタイプを作製した.
今回適用した音源分離技術では,録音したセミ音源を明確に分離することが難しかったが,音源の方向に着目した分離アルゴリズムを今後考案していく必要がある.また携帯端末で稼働する音声解析アプリのプロトタイプを開発出来たことで,市民参加型の生物調査に弾みが付けられるようになったことは大きな前進である.アプリについても利用可能なオペレーティングシステムを拡充するなどしていく必要があるが,こうしたアプリを公開し,広く一般の方々に使っていただくことで,これまで問題であった調査人員や調査資金の不足を補っていけると考えている.今後も限られたリソースを有効に使って,イシガキニイニイの行方を追跡していく必要がある.