自然ニュートリノ観測と陽子崩壊探索を通して探る新たな素粒子物理
研究課題情報
- 体系的番号
- JP18H05536 (JGN)
- 助成事業
- 科学研究費助成事業
- 資金配分機関情報
- 日本学術振興会(JSPS)
科研費情報
- 研究課題/領域番号
- 18H05536
- 研究種目
- 新学術領域研究(研究領域提案型)
- 配分区分
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- 補助金
- 審査区分/研究分野
-
- 理工系
- 研究機関
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- 東京大学
- 研究期間 (年度)
- 2018-06-29 〜 2023-03-31
- 研究課題ステータス
- 完了
- 配分額*注記
- 357,760,000 円 (直接経費: 275,200,000 円 間接経費: 82,560,000 円)
研究概要
1996年に開始したスーパーカミオカンデのニュートリノ研究及び陽子崩壊探索の解析手法を高度化することに成功した。結果、ニュートリノ質量は「通常階層」であることが示唆され、ニュートリノ・反ニュートリノの性質に違いがある(CP対称性が破れている)可能性を示す結果も得られた。陽子(核子)崩壊は有意な兆候がみらなかったが、従来出版された論文に比して50%~10倍以上の寿命下限値を得た。これらの結果は、将来のハイパーカミオカンデにおける統計量精度の大きな向上によって、解を得ること、または新たな発見が可能であることを示す。今回の研究でハイパーカミオカンデ検出器性能を大きく向上させる開発にも成功している。
1998年のニュートリノ振動及び有限質量の発見以降も、ニュートリノの重さの順番(質量階層性)やニュートリノと反ニュートリノの振動に違いの有無(CP対称性が保存されているか)など未だ明らかになっていない謎は多い。これらの謎の解明は宇宙に反物質が非常に少ない理由を明らかにすると期待されている。スーパーカミオカンデを用いた本研究の成果はまだ統計的に有意ではないが、将来のハイパーカミオカンデにおいてこの謎の解明が可能であろうことがわかった。 陽子(核子)崩壊探索はクォークとレプトンの関係性を説明する大統一理論の直接的検証である。今回発見されなかったが、その事実が大統一理論のモデル化に大きく寄与している。