現代刑事事実認定における経験則の実際的機能と理論的意義についての総合的研究

研究課題情報

体系的番号
JP18K01317
助成事業
科学研究費助成事業
資金配分機関情報
日本学術振興会(JSPS)
研究課題/領域番号
18K01317
研究種目
基盤研究(C)
配分区分
  • 基金
審査区分/研究分野
  • 小区分05050:刑事法学関連
研究機関
  • 九州大学
研究期間 (年度)
2018-04-01 〜 2024-03-31
研究課題ステータス
完了
配分額*注記
4,290,000 円 (直接経費: 3,300,000 円 間接経費: 990,000 円)

研究概要

本年度は、6年間の研究期間において実施した各研究の成果を総合して得られる示唆について、検討した。本研究課題である経験則の実際的機能と理論的意義という問題を検討するにあたり、具体的に検討した間接事実の類型は、①自白的言動、②虚偽弁解行為、そして③暴力団の行動様式である。 ①は、自白供述と同様の性格をも併せ持っている点で、「間接事実」といいながら直接証拠並みの推認力があるとみなされ、またその多義性や(自白供述であれば必ず検討されなければならないはずの)任意性・信用性の検討が不十分なまま、決め手とされる危険がある。このような危険な推認をもたらしているのは、「人は自分に不利益なウソをつかない。ゆえに自分が犯人であることを認める供述は信用に値する」という「経験則」であることについて、具体的な事例に基づき、明らかにすることができた。②の虚偽弁解行為についても、多義性や信用性の検討が不十分なまま、「犯人は罪から免れるために嘘をつく」という「経験則」を前提に、決め手とされる危険があることについて、具体的な事例に基づき、明らかにすることができた。③の暴力団の行動様式についても、暴力団に対するステレオタイプが「経験則」とみなされ、同じく決め手とされる危険があることについて、特に共謀共同正犯としての関与に関する認定について、具体的な事例に基づき、明らかにすることができた。 「経験則」を媒介にして或る間接事実を決め手にするという事実認定は、多角的な証拠群による支えを欠くばかりか、それ自体証明の対象とされていない「経験則」頼みであるから、少なくとも二重の意味で証拠的な脆弱性を持つものであることを明らかにすることができた。

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