子どもの認知プロセスー環境要因を考慮した親・保育者・一般成人の比較
研究課題情報
- 体系的番号
- JP18K02461
- 助成事業
- 科学研究費助成事業
- 資金配分機関情報
- 日本学術振興会(JSPS)
- 研究課題/領域番号
- 18K02461
- 研究種目
- 基盤研究(C)
- 配分区分
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- 基金
- 審査区分/研究分野
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- 小区分09030:子ども学および保育学関連
- 研究機関
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- 上智大学
- 研究期間 (年度)
- 2018-04-01 〜 2024-03-31
- 研究課題ステータス
- 交付
- 配分額*注記
- 4,420,000 円 (直接経費: 3,400,000 円 間接経費: 1,020,000 円)
研究概要
「社会の中の子育て」が理想とされる中、現状は理想からは程遠い。どのような人が、どのような齢の子どもに、どのようにかかわってくれるのか、他者のかかわりを含む環境が子どもの発達へどのような影響を与えるのかを明らかにすることは、社会の中の子育てを促進するためのシステム構築に重要である。 日本では15歳未満の子どもの数よりイヌネコの飼育頭数のほうが多いが、動物とのかかわりも子どもの発達に影響を与えている可能性がある。そのことから、イヌネコを子どもが生まれる以前から飼育している保護者を対象に、イヌネコと子どもの関係性に関する調査を昨年度実施した。分析の結果、飼い主から見てネコは子どもに対してイヌよりもよりネガティブな印象を持ち、行動していることが示唆された。また、イヌネコが子どもに対してネガティブな印象を抱く傾向は、子どもが1歳の時に高いことが示唆された。 未就学児の感情理解の発達に影響を与える要因を探るため、3-6歳児を対象に、感情理解課題を、その保護者にアンケート調査を実施し、絵本や動画への家庭での露出と感情理解能力との関連を調べた。その結果、感情知識課題の成績は、絵本への接触量および絵本への関心と正の相関があることが示された。予測と異なり、感情知識課題の成績は、教育コンテンツを見ていない群の方が見ている群よりも有意に高かった。これらの結果から、絵本や教育動画への曝露が幼児の感情理解能力の発達に影響を与えることが示唆された。 中学生登校生徒、不登校生徒を対象に居場所感と獲得的レジリエンスの関連を検討したところ、登校生徒では、家族と友人における居場所感が獲得的レジリエンスと正の関連を示した。一方不登校生徒では、施設や性別によって関連のあり方に違いが見られた。この結果から、登校生徒では特に家族・友人での居場所感が獲得的レジリエンスにとって重要である可能性が示された。
前年度以前に行った、0-2歳の子をもつ母親、教育学部大学生、一般大学生を対象にした乳幼児顔の評定調査の結果、および、保育所で保育士として働いており、かつ子育て経験のある母親を対象にしたインタビュー調査の結果、イヌネコと子どもの関係の調査について、論文化を目指す。 近年の心理学再現性危機の問題から、従来の心理学の研究方法の限界点が指摘されているが(平石・中村, 2022)、質的研究に解決策を見出そうとする指摘もある(Yarkoni, 2020)。そのため、改めて子どもの発達に関連するさまざまな情報を収集する目的で、子どもにかかわるあらゆる人を対象に、インタビューあるいは座談会を実施し、発達に影響を与える要因について質的な検討を行う。