古墳時代人骨を用いた社会的格差の歴史的展開に関する実証的研究
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- 米元 史織
- 研究代表者
- 九州大学
研究課題情報
- 体系的番号
- JP18K12554
- 助成事業
- 科学研究費助成事業
- 資金配分機関情報
- 日本学術振興会(JSPS)
- 研究課題/領域番号
- 18K12554
- 研究種目
- 若手研究
- 配分区分
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- 基金
- 審査区分/研究分野
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- 小区分03050:考古学関連
- 研究機関
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- 九州大学
- 研究期間 (年度)
- 2019-02-01 〜 2024-03-31
- 研究課題ステータス
- 完了
- 配分額*注記
- 4,030,000 円 (直接経費: 3,100,000 円 間接経費: 930,000 円)
研究概要
本研究の目的は、古人骨の形態、特に筋付着部の発達度分析を用い、社会的格差の拡大が人間の身体活動の多様性に与えた影響を検討し、その歴史的な展開過程を明らかにすることである。新型コロナウイルス感染症の流行により研究計画を若干変更し、古墳時代の前後の時期の検討を行った。成果は大きく2つである。1つは江戸時代の武士層と町人層ではMSMsパターンが異なり、泰平の世が続くにつれて武士の「貴族化」が進行することを読み取ることができること。2つ目はこれまで均質な高顔性を有すると言われてきた弥生時代北部九州地域の頭蓋骨の地域性について再検討し、個体レベルでは形質のヴァリエーションが豊富であることを明らかにした。
本研究は、筋骨格ストレスマーカーを用いて、階層社会の形成・成立によって身分・階層ごとに身体活動の差がどのようにあらわれるのか、を江戸時代の男性を対象にしてモデル化を行った。確実に階層社会と考えられる社会を対象にしてまずは検討を行い明確な結果を得ることで、今後古墳時代の検討を深めていく際の重要な指標となると考える。 また、頭蓋骨の形質の検討のために生成した3Dデータは、今後さらなる詳細な検討を可能にするだけでなく、研究者間ネットワークの構築のための基礎である。COVID-19のような世界的なパンデミックにおいても世界中の研究者が研究を継続する体制を整えることは重要な社会的意義を有すると考える。