南米SAVER-Net観測網を用いたエアロゾル・大気微量気体の動態把握

  • 水野 亮
    研究代表者
    名古屋大学
  • 西澤 智明
    研究分担者/共同研究者
    国立研究開発法人国立環境研究所
  • 神 慶孝
    研究分担者/共同研究者
    国立研究開発法人国立環境研究所
  • 弓本 桂也
    研究分担者/共同研究者
    九州大学
  • 長濱 智生
    研究分担者/共同研究者
    名古屋大学
  • 秋吉 英治
    研究分担者/共同研究者
    国立研究開発法人国立環境研究所
  • 杉田 考史
    研究分担者/共同研究者
    国立研究開発法人国立環境研究所

研究課題情報

体系的番号
JP18KK0289 (JGN)
助成事業
科学研究費助成事業
資金配分機関情報
日本学術振興会(JSPS)

科研費情報

研究課題/領域番号
18KK0289
研究種目
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
配分区分
  • 基金
審査区分/研究分野
  • 中区分63:環境解析評価およびその関連分野
研究機関
  • 名古屋大学
研究期間 (年度)
2018-10-09 〜 2025-03-31
研究課題ステータス
交付
配分額*注記
17,810,000 円 (直接経費: 13,700,000 円 間接経費: 4,110,000 円)

研究概要

2023年度は、前年度1月のコロナ禍後初のアルゼンチン・チリ渡航を踏まえ、再始動した共同研究を具体的に軌道に乗せるための研究活動を進めた。 オゾン観測装置群については、10月および2024年3月に水野が現地入りし、ミリ波分光計の再立ち上げを行なった。まず10月の段階で、長期停電ごとに故障していた極低温冷凍機用チラーの分解清掃と不純物を除去するカートリッジフィルタを設置することで、コロナ禍以前からの懸案を解決し極低温冷凍機の長期間安定運転が可能となった。3月の渡航では10月に不具合が見つかった超伝導受信素子を交換し、2020年1月以降4年2ヶ月ぶりに定常観測を再開することができた。相手国側の差分吸収オゾンライダーについては、米国NASAのグループからの技術支援と資金支援を得る合意ができている一方、2023年12月に誕生した新大統領・新政権の政策により文教予算が大きく削減されたため、2023年度前半に故障したYAGレーザーの修理ができず観測再開が困難な状況に陥っている。 ライダー網を用いたエアロゾル研究に関しては、7月に神が渡航し半導体励起レーザと小型屈折望遠鏡光学系を用いた長期間メンテナンスフリーのミニライダーをアルゼンチンに持ち込んでテスト観測を行い、後方散乱係数と偏光解消度が初期の目標通りに取得できていることを確認した。また、アマゾンスモークの観測で重要な観測点となるアルゼンチン北部トゥクマンの国立大学を訪問し、共同研究の新たなメンバー・拠点の開拓とキャパシティービルディングを含む今後の研究計画について議論した。またデータ解析では2019年のコルドバでの観測データで、偏光解消度と風向きの相関から、非球形のエアロゾルが南方からと球形のエアロゾルが北方から輸送されることを明確に示し、それらの発生源が南方乾燥帯のダストと北方アマゾンからのスモークと考えられることを明らかにした。

オゾンホールの出現前およびアマゾンでのバイオマス燃焼によるスモークの越境汚染がピークを迎える前の夏頃をめどに、水野と神がアルゼンチンに渡航し、ミリ波分光計の整備とミニライダーを含む新たなエアロゾルライダー観測網の再整備を行い、観測を軌道に乗せ、イベントが発生した時にデータの取りこぼしがないように準備を行う。それが最優先課題である。ミニライダーに関しては、まず、首都ブエノスアイレスの気象局本部に設置し、現地研究者に運用方法、メンテナンス方法に習熟してもらい、その後コルドバやトゥクマンなどの現地研究者の手によって北部地域へと順次設置していける体制を構築する。さらに、名古屋大学の持田教授グループと新たに連携し、エアロゾルのサンプリング観測も開始する。ライダーによる光学的な粒子識別と共に、詳細な化学分析データも併せて複合的に解析することで、エアロゾルの特性や輸送に伴う経時変化についても研究を深めたいと考えている。 また、インターネットによる日本からの遠隔管理・制御システムをより一層整備して現地エンジニアの負担軽減を図り安定した長期間運用体制を構築する。データ解析およびモデル関係の研究は順調に進捗している。あとは同化すべき現地の観測データを取得するところが最大かつ最重要の課題である。インターネットを介した日本での準リアルタイムデータ取得を目指す。 本課題の重要な最終目標の一つは、観測空白域である南米地域での観測網を充実させ、地球観測衛星の地上検証に貢献することである。この実現のためには、より安定・頑強な観測システムへの移行と持続可能な観測体制の確立が重要であることがコロナ禍により一層浮彫となった。その実現は、本課題終了後10年20年の長期にわたって、本観測網が地球環境問題の解決に向けて国際的に果たすべき重要な使命でもあると認識し精一杯取り組んでいきたい。

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