本研究は、アメリカ合衆国アラスカ州で進行する金鉱開発のステークホルダーたちが思い描く「持続可能な社会」に向けた様々な取り組みを、民族誌学的資料に基づき検討する。同地域における金鉱開発は、雇用先の創出、小規模ビジネスの拡大など地域経済を活性化させる起爆剤として位置付けられる一方で、地域住民が伝統的に実践してきた野生動物・魚類に負の影響を与える可能性を孕むものである。地域経済の発展と「生き方」としての狩猟漁労実践の持続は、いずれも地域住民の「生活の質」を維持する上で極めて重要と言われている。そこで、本研究では金鉱開発に直接的・間接的に関与するステークホルダーを対象とした人類学的研究を実施する。