ヘリウムから炭素を生成するトリプルアルファ(3α)反応は宇宙での元素合成や天体の進化を考える上で重要な核反応と考えられている。本研究では3α反応率をこれまでより高精度(±5%以下)で実験的に決定し、様々な天体進化モデルの改善に寄与することをめざす。 3α反応を支配する原子核準位として炭素12の第2励起状態(ホイル状態)が存在する。ホイル状態の全崩壊確率に対する内部電子対生成確率の比(対崩壊分岐比)の測定精度が、3α反応率の決定精度を支配していることが知られている。本研究では新考案の逆運動学α共鳴非弾性散乱法により対崩壊分岐比を高精度で実験的に決定することをめざす。