多孔体の特性評価の基となる細孔構造解析は、細孔形状を“仮定”して行われることが往々にしてある。その主な要因は、複雑かつ無秩序な細孔を有する多孔体に適用可能なナノ細孔“形状”評価法の欠落にある。本研究は、あらゆる不規則複雑系多孔体に適用可能なナノ細孔“形状”評価手法の確立を目的とする。 また、主目的を達成する過程で、ナノ制限空間内に捕らわれた分子の電子分布が細孔形状によってどう変化するかという問いに対する解を得る。この解は、ナノ制限空間内における特異な分子挙動の理解と制御の足がかりとなる。 理想モデルから市販材料に亘るマルチスケールの多孔体を用いた実験的検討によってこれらの目的を達成する。