食道扁平上皮癌に対する化学放射線療法(CRT)は標準治療であるが、予後は不良で再発も多い。再発を予測する確立されたバイオマーカーはなく、治療の個別化や再発リスクに応じた治療戦略の検討も困難である。近年我々は、進行大腸癌の原発巣内における遺伝子変異の多様性を明らかにした。食道癌でも、単一腫瘍内の多様なサブクローンのうち特定のものが治療に耐え再発に至ると予想される。再発に関わる遺伝子変異の同定が望まれるが、通常の生検は腫瘍の部分的な評価に過ぎず、少ないサブクローンは物理的に評価困難である。この克服に向け、癌細胞から血中に漏出する循環腫瘍DNAを用いた腫瘍の包括的評価が見込まれる。