バイオエアロゾルの対流圏広域拡散:気球搭載蛍光粒子カウンターの開発と観測への応用
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- 山田 丸
- 研究代表者
- 熊本県立大学
研究課題情報
- 体系的番号
- JP07J11919 (JGN)
- 助成事業
- 科学研究費助成事業
- 資金配分機関情報
- 日本学術振興会(JSPS)
科研費情報
- 研究課題/領域番号
- 07J11919
- 研究種目
- 特別研究員奨励費
- 配分区分
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- 補助金
- 審査区分/研究分野
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- 複合新領域 > 環境学 > 環境動態解析
- 研究機関
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- 熊本県立大学
- 研究期間 (年度)
- 2007 〜 2009
- 研究課題ステータス
- 完了
- 配分額*注記
- 3,300,000 円 (直接経費: 3,300,000 円)
研究概要
本研究では大気中の蛍光粒子をリアルタイムでカウントする蛍光粒子カウンターの開発を行った。さらにその応用として大気中の微生物粒子(バイオエアロゾル)の濃度計測を試みた。バイオエアロゾル計測では、代謝活動時に生成されるNADHを対象の蛍光分子として、実験・評価を行った。本研究のもう一つの目的として、気球に搭載可能なものにするため、小型、軽量、バッテリー駆動のシステムを設計した。開発では既存の光散乱式粒子カウンターの光源、光検出器を適切なものに変更し、また蛍光のみを検出する光学系を設計した。加えて、電波でデータを転送するシステムを構築した。 実験ではPSL蛍光粒子、およびHADH、微生物、、黄砂を粒子化した試料を用いた。PSL蛍光粒子およびNADHでは、粒子数濃度を精度良く計測できることが確認された。黄砂粒子からは蛍光を検出しなかった。微生物を用いた計測試験では十分な蛍光シグナルを検出できなかった。そこで、各種試料の蛍光強度の計測を行い検討した。結果として、微生物の蛍光強度は非常微弱であり、本研究で開発した装置では微生物に対しては十分なS/N比が得られなかったと考えられる。ただし、ある種の有機物を検出可能とし、従来のエアロゾル粒子カウンターでは計測できなかった新たなパラメーターを取得することに成功した。今後、本研究を発展させることで、野外観測において有効なツールとなると考えられる。 一方で、中国の黄砂発源地において気球を用い、バイオエアロゾルの観測を実施した。観測では、大気中に浮遊する黄砂粒子の1割程度がその表面に微生物を付着させており、微生物の付着は鉱物種によらないということを明らかにした。黄砂とバイオエアロゾルの混合状態に関する研究はこれまでになく、今回得られた成果は、黄砂バイオエアロゾルの挙動に関する理解にとどまらず、多くの分野で波及効果をもたらす結果であると思われる。