ガーンディー「非暴力」思想の淵源とキリスト教無抵抗主義:資料に基づく時系列的分析

研究課題情報

体系的番号
JP10J03533 (JGN)
助成事業
科学研究費助成事業
資金配分機関情報
日本学術振興会(JSPS)

科研費情報

研究課題/領域番号
10J03533
研究種目
特別研究員奨励費
配分区分
  • 補助金
審査区分/研究分野
  • 複合新領域 > 地域研究 > 地域研究
研究機関
  • 一橋大学
研究期間 (年度)
2010 〜 2012
研究課題ステータス
完了
配分額*注記
2,100,000 円 (直接経費: 2,100,000 円)

研究概要

本研究の目的は、インド独立の父M・K・ガーンディー(1869-1948)の非暴力思想形成において、ヒンドゥー教・ジャイナ教における「不殺生(ahimsa)」概念と、ロシアの文豪・宗教家レフ・トルストイによって唱導された「無抵抗主義(non-resistance)」の思想が持った意味を再考することにある。 上記の目的を達成するために、私は平成22年度から24年度に亘り、合計三度のインドにおける公文書館を中心とした史料調査を実施した。それにより、研究目的を達成する上で必要不可欠となってくる以下の三つの史料を収集した。第一が、インド・グジャラート州アフマダバード市にあるInstitute of IndologyとGujarat Sahitya Prakashにおいて入手したAnantaray M, Raval とSivlal Jesalapuraによって編纂されたグジャラートの詩人Samal Bhatt (1718-1765)の詩集である。これによって、ガーンディーの幼少時代に影響を受けたと自明視されていた、Samal Bhattの六行詩における原本内容が、ガーンディー自身によって変更されていたことが明らかになった。第二が、グジャラート州にあるShrimad Rajchandra Adyatmik Sadhana KendraとShrimad Rajchandra Ashramによって収集したグジャラーティー語のRajcandra Raojibhai Mehta (1867-1901)の文献である。これによって、ガーンディーの初期非暴力思想形成においては、ジャイナ教の不殺生概念ではなく、「慈悲(daya)」概念が重要な役割を果たしていたことを浮き彫りにした。第三が、デリーのNational Gandhi Museum、アフマダバード市にあるガーンディー文献の公的出版社NavajivanとGujarat Vidyapithによって入手した英語、ヒンディー語、グジャラーティー語の三つの『ガーンディー全集』と、その他関連一次史料の読解を通し、初期非暴力思想形成が、1910年におけるトルストイとの書簡の交流によって強く啓発されたものであったこと、そして、ガーンディーによる不殺生概念が、それより5年時代を下った後に(1915年以降)、初めて使用されるようになったものであったことを実証した。 主に上記の三つに示される史料収集と精読を通しては、本研究において目的とされていた、非暴力思想形成とその淵源を、不殺生概念と無抵抗主義との関係から再定位した。

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