敦煌講経資料より見た変文発展変化の基礎的研究

About This Project

Japan Grant Number
JP11J01593 (JGN)
Funding Program
Grants-in-Aid for Scientific Research
Funding Organization
Japan Society for the Promotion of Science

Kakenhi Information

Project/Area Number
11J01593
Research Category
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
Allocation Type
  • Single-year Grants
Review Section / Research Field
  • Humanities > Literature > 各国文学・文学論
Research Institution
  • Hiroshima University
Project Period (FY)
2011 〜 2012
Project Status
Completed
Budget Amount*help
800,000 Yen (Direct Cost: 800,000 Yen)

Research Abstract

中国の仏教は、中国人に受容されるべく、儒教の徳目である「孝」の倫理を強調せねばならなかった。これは、インド仏教や西域仏教から中国仏教への変容を窺うにあたって重要な特徴である。拙稿「舜の舌による瞽叟開眼故事の流布について」は、敦煌より出土した文献のうち、中国の伝説的皇帝・舜の孝子譚「舜子変文」を取り上げ、その孝子譚の広範な流布と仏教との関わり、並びに日本への伝播の様相を明らかにしたものである。 拙稿では、中国の孝子譚に、孝子が盲いた人物の目を舌で舐めて開眼させる故事が多数残されている点に着目した。まず、「舜子変文」が同系故事の中でも最初期に成立した故事であること、及び同系故事の流布に大きな役割を担ったことが窺われた。そして、舜の舌の故事が、9、10世紀の敦煌文献に多数見られることに着目し、同時代資料である『江西別録』との比較から、当該故事が10世紀頃には中国の広い範囲にまで流布していたことを明らかにした。後代においても、当該故事は元末明初の知識人・陶宗儀(1329・1410)に注目されており、中国に長く伝承され続け、深く浸透していたことも指摘できた。このような考察は、まさに仏教資料たる敦煌文献を利用することで可能となったものであり、「舜子変文」は、中国孝子譚の流布を考えるに当たって極めて重要な文献であることが分かる。また、日本における舜の故事は、中国の伝承と些か異なっており、舜の故事が若干の変化を経て日本に伝播してきたことを明らかにした。 なお、2009年7月に発表した敦煌変文に関する新資料の紹介と、そこから変文と紙芝居の如き絵解きとの関係を併せ論じた「轉變人」が、中華書局の論文集より出版された。これは、「舜子変文」をはじめとし、敦煌文献中の変文文献がいかに発生したかを考える上で、貴重な成果となったであろう。

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