素粒子標準模型では、素粒子の質量及びフレーバー構造を決定する湯川結合はパラメターであり、それらの値を予言することはできない。本研究の目的は、湯川結合の起源を弦理論、特に滑らかなカラビ・ヤウ多様体上のヘテロ型弦理論に基づいて明らかにすることである。曲率を持つ滑らかなカラビ・ヤウ多様体上のSO(32)ヘテロ型弦理論に基づく有効理論に注目し、実験データと整合する湯川結合の導出を目指す。また、モジュライ場及びアクシオン場に依存する湯川結合を通して、これらモジュライ場の引き起こす素粒子論的・宇宙論的現象を探求する。