近年、障害・高齢・貧困・引きこもり・外国人等の理由で、社会的に排除され孤立している人たちの参加に焦点をあてた芸術文化活動が盛んになった。しかし、どのようなプロセスで芸術文化活動が社会包摂につながるのかは曖昧なままである。本研究は、(1)関連分野の知見の整理、(2)エピソードの収集、(3)インタビュー調査、(4)以上の統合的考察を行うことで、芸術文化活動が社会包摂へとつながる道筋を類型化し、プロセスを理論的に説明可能にすることを目的にする。本研究の成果は、共生社会の実現を目指した文化事業の制度設計や評価手法の開発に貢献するとともに、人間が芸術文化活動を行う意義についての本質的理解も深めるだろう。