ヘルマン・ヘッセの短編『少年の日の思い出』(1931年原題 Jugendgedenken)を、その原点としてのDas Nachtpfauenauge(1911)以降に存在すると言われている複数の改作を発掘し、その変遷と作者の創作上の自己変革のプロセスの関連に依拠しながら分析検証するとともに、わが国で戦後70年以上にわたって国語教材として多くの読者に読まれ続けている同作品の「読み解き方」の実態を、現場教員による教材研究及び学習指導案、さらには実際の授業の参観等を通して調査しつつ、国語教育にも資する新たな解釈の可能性を提起しようとする試みである。