タンパク質の化学修飾反応は、蛍光ラベリングによるタンパク質の動態解析、PEG 化による物性の改変、抗体-薬物複合体(ADC)、抗体やタンパク質の固定化などに用いられている。しかし、これまでに利用されてきた手法は、人工タンパク質に対する生体直行性の高いヒュスゲン環化反応などが主流で、人工タンパク質の調整が必須であった。理想的には、遺伝子改変を施していない天然のタンパク質を高い位置選択性で修飾できれば、抗体医薬などの合成がより簡便になる。本研究の目的は、このような位置選択的タンパク質修飾を、以前までのアフィニティーラベリングなどに依らない、精密な反応制御により達成することである。