近年,日本ではニホンジカの個体数が急増し,農林業被害は甚大であるが,解決の見通しが立っていないのが現状である.本研究は,シカを含む植食動物はナトリウム不足になりやすいことに着目し,1) シカはナトリウム不足になりやすいのか?,2) シカはナトリウムをどこから得ているのか?という問いに答えることを目的とする.北海道東部の山林(九州大学北海道演習林)において,ナトリウムを林床に人為的に与える操作実験や植物,土壌などの環境中のナトリウムの網羅的計測を行う.本研究でシカがナトリウム不足であることや,シカが得ているナトリウム源を特定できれば,効果的な被害対策や生息地管理に関する指針の提供が期待できる.