神経性疼痛に対して磁気ないし直流電気刺激を用いた大脳刺激が治療戦略の重要な柱の一つとなっている。しかしながら、従来から行われている運動野皮質刺激では約5割の奏効率であるため、より効果的な脳部位や刺激方法の検索が急務である。痛覚上行路の主な入力を受けている島葉を標的とすることで痛みを緩和できる可能性があるが、脳深部にある島葉を従来の経頭蓋刺激法で選択的に刺激するのは難しい。そのため本研究では、前庭覚と痛覚情報が島葉後部に収束することに着目し、前庭覚情報入力による生理的な脳賦活刺激を介した疼痛緩和について検討する。