本研究は、前近代日本における債権法制及び慣習に関する学問基盤の構築とそのための基礎的資料の整備をと目的とする。具体的には、かかる研究の先駆者である金田平一郎が、戦前期九州帝国大学を拠点として蒐集し現在九州大学附属図書館が所蔵する近世法制史料群について、集積過程や背景をも含めた丁寧な再構築に努める。加えて目録整備やデジタル化を通じて、基礎的共有財産として広く学界へ提供し、同時に債権法制史料活用のためのコンテンツ化を試みる。 歴史資料の保存や活用の可能性を多面的に探ることで、近世九州北部地域を具体例とした債権規範とその影響についての研究を進め、債権法制への地域的・歴史的視座をも模索したい。