つる植物は熱帯から温帯にかけて密度・種数が大きく減少するが,これは「つる植物の通導構造が凍結に弱く,氷点下の気温がその成長を制限するため」と考えられている.そうであれば,温暖化に伴う冬期の気温上昇により,温帯林においてもつる植物の影響が顕在化してくる可能性があるが,これまでこの仮説に対して充分な検証は成されていない.本研究では,暖温帯,冷温帯の2地点において,つる植物と樹木の通導・水利用に関する基本特性とその季節変化を評価する.つる植物と樹木の比較,また寒冷の程度が異なる2地点の比較を通し,氷点下の環境が特につる植物の通導機能に対して阻害的に作用しているかを検証する.