真正細菌と真核生物に属さず独立した生物群を構成する古細菌は生命の起源に近い始原的な性質を持つ。原始的な地球で誕生し、高紫外線量下で生存してきた古細菌群は損傷に対する何らかの強力な対応機構を有していると考えられる。真正細菌および真核生物は、紫外線で生じるDNA損傷を修復するヌクレオチ ド除去修復(NER)機構を有しているが、古細菌はNER機構が長らく不明のままである。本研究では、生化学的・細胞生物学的手法により古細菌が持つNER機構を明らかにし、古細菌群の高い環境適応性を支える分子基盤を理解するとともに、核酸関連因子の新規機能の発掘、さらに核酸化学およびゲノム工学分野の進展に繋げる。