蛋白質-蛋白質間相互作用(PPI)は広範な生命現象の根幹を司る相互作用である。ひとつの蛋白質が複数の相互作用を形成する例も多い。しかしながら、一般的にPPI制御に用いられる抗体等の手法では複数のPPIを区別して制御することは難しい。そこで本研究では細胞接着蛋白質カドヘリンをモデル蛋白質とし、カドヘリンがもつ複数のPPIを別々に制御可能な化学遺伝学的手法の開発を目指す。具体的には、遺伝子工学により蛋白質の望みの位置に錯化残基を導入し、その部分への金属錯体の配位によって望みのPPIのみを惹起・阻害するシステムの構築を目指す。