植物は、光合成の場である葉緑体の細胞内局在を変えることで、時空間的に不均一な光環境の変化に対して細胞レベルで応答し、光合成を最適化している。この葉緑体の細胞内局在変化(葉緑体光定位運動)は、光によって制御されると考えられている。しかしながら、約250種におよぶ野外の植物の葉緑体光定位運動を調べた結果、葉緑体光定位運動は光に加えて炭酸ガス濃度によっても制御されること、また、葉緑体光定位運動において、光の情報よりも炭酸ガス濃度の情報が優先されることを見出した。そこで本研究では、現在不明のままである炭酸ガスによる葉緑体光定位運動の制御システムの全貌解明を目指す。