ダウン症候群児の約10%が出生時に一過性骨髄異常増殖症(transient abnormal myelopoiesis; TAM)を合併し、さらにそのうち約15%が乳児期早期死亡する。死亡原因の約半数は肝線維症による肝不全である。芽球数の多いTAMでは少量AraC治療にて死亡リスクが減少するが、芽球が少なくても肝不全を発症する例や、芽球が消失後にも肝不全が重症化する例があり、一度発症した肝不全に対しては有効な治療法は無い。申請者らは予備調査から、特定のケモカインが肝不全の発症と重症化に関与している可能性を見出したことから、TAMによる肝不全の発症と重症化の病態を解明して、予防と治療に介入可能な標的を絞り込む研究を行う。