本研究では分子気体運動論の基礎方程式であるボルツマン方程式の解の正則性について明らかにする。特に領域が非有界かつ積分核が非切断型の場合を扱う。この方程式の解は解析性以上の非常に強い正則性を得ることが予想されており、近年の擬微分作用素による線形作用素の明示化により非常に正則性の低い初期条件に対して解の正則化効果が得られることが分かってきた。しかし、これらの結果は全て領域がトーラスの場合に限られており、証明の技法にもこのことが本質的に用いられている。本研究では、解の正則性という局所的性質が領域が全空間や非有界な帯状領域などでも得られることを示す。