インドおよびネパール国の衛生上重要なハエ類の分類、生態、防除に関する研究

研究課題情報

体系的番号
JP04041043 (JGN)
助成事業
科学研究費助成事業
資金配分機関情報
日本学術振興会(JSPS)

科研費情報

研究課題/領域番号
04041043
研究種目
国際学術研究
配分区分
  • 補助金
研究機関
  • 東京医科歯科大学
研究期間 (年度)
1992 〜 1994
研究課題ステータス
完了
配分額*注記
11,300,000 円 (直接経費: 11,300,000 円)

研究概要

1.調査地域の概要 ネパール国での調査は、1990年に行なったアンナプルナ山地、テライ平原での調査に続ずき、1992年には、ジリからナムチェ・バザ-ルまでのエベレト街道沿いの地域とテライ平原の東部の地域で行なった。これらの地域でのハエ類の調査研究は、過去に全く行なわれておらず、それぞれの専門分野で貴重な資料が得られた。 インドでの調査は、1993年と1994年の2回行なった。1993年には、東部のオリッサ地方とバンガロールを中心とする南インドの数地域で調査した。南インド地方のハエ類は、英国の植民地時代に採集された多数の標本が大英自然史に保管されており、分類学的研究のためには、我々自身での調査が必要であった。1994年には、衛生害虫として、熱帯地域の国で、最も問題となる、イエバエの防除のための基礎資料を得るために、イエバエの殺虫剤抵抗性についての野外実験を行なった。 2.分類学的研究 岩佐は、インドおよびネパールのツヤホソバエ科について研究し、ネパールからは、これま自身が報告していた8属、25種に加え、新たに1新種と2属7新記録種を記載した。インドからは、1新種と3新記録種を加え、7属18種を記載した。 林利彦は、ハヤトビバエ科を担当し、人糞から発生するParalimosia属を調べ、6新種を含む14種を見いだした。 上宮は、ネパールのメマトイキモグリバエ属を研究した。本属のハエは、眼病を媒介するハエとして知られている。今回の調査で、ネパールから8種とインドから6種が見いだされた。 篠永は、ネパールのイエバエ科のハエを研究し、イエバエ亜科、サシバエ亜科、トゲアシイエバエ亜科をまとめた結果、23属、112種を記録した。このうち、52種を新種として記載した。 倉橋は、ネパールのクロバエ科について研究した。その結果、23属、77種を見いだした。この内、10種は新種であり、42種がネパールからの新記録種であった。 加納は、ネパールのニクバエ科を担当した。調査の結果、1新種と8未記録種を加え、ネパールから40種記録した。 3.イエバエの殺虫剤抵抗性に関する研究。 イエバエの殺虫剤抵抗性については、ネパール国内の7カ所から採集したストレインを持ち帰り、それらについて、8種類の薬剤に対する殺虫剤抵抗性を調べた。その結果、ネパールのイエバエは、各種の殺虫剤に対し高い感受性を示した。インドでは、林、篠永、廿日出の3名が、系統を維持しないで直接野外のハエを用いて殺虫剤抵抗性の野外実験をおこなった。その結果、日本では見られないような、高い感受性を示した。今回の結果から、熱帯の諸国では、エバエの系統維持をしないでも、結果にあまり違いが無いことが判明した。 4.ハエ類の発生源に関する調査。 熱帯地のハエ類は、主に動物糞や人糞、動物の死体などから発生している。防除の対策として発生源対策が必要であるが、熱帯の国では、このような発生源がどこにもあり、発生源対策は困難と考えられる。これまでに調査した、ヒトの生活環境内でのハエ類の発生源については、現在集計中である。 5.動物地理学的研究。 今回の調査の結果から、ネパールのハエ類について動物地理学的な研究も行なった。例えば、クロバエ科では東洋区系要素が40%をしめ、東洋区-オーストラリア区系要素が13%、固有種が26%と高い割合を占めた。これに反、支那-ヒマラヤ系要素は9%と低かった。

関連論文

もっと見る

関連研究データ

もっと見る

関連図書・雑誌

もっと見る

関連博士論文

もっと見る

関連プロジェクト

もっと見る

関連その他成果物

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

ページトップへ