韓日両国民の食嗜好の相違に関する研究

研究課題情報

体系的番号
JP04045046
助成事業
科学研究費助成事業
資金配分機関情報
日本学術振興会(JSPS)
研究課題/領域番号
04045046
研究種目
国際学術研究
配分区分
  • 補助金
研究機関
  • 郡山女子大学
研究期間 (年度)
1992 〜 1992
研究課題ステータス
完了
配分額*注記
2,900,000 円 (直接経費: 2,900,000 円)

研究概要

研究代表者らは1987年から過去4回に渡り、科学研究費補助金(国際学術研究-大学間協力研切)の交付を受け、韓国食文化がわが国の食文化にどのような影響を及ぼしたかについて研究(「韓国食文化の日本への影響に関する研究」)を続け、その成果を日本と韓国の学会誌および韓国での学会で発表してきた。 今回は両国の塩辛、調味料などの呈味成分の比較、両国民をパネラーとした官能検査の結果から日韓両国民の食嗜好の差異を検討した。また、日本の神饌と韓国古代食、韓国と日本の餅の関係について調査研究を行った。主な結果は次のようである。 1.塩辛の呈味成分と食嗜好 韓国の塩辛は全羅北道で採集した。 (1)両国で日常的に食される塩辛の遊離アミノ酸は日本の塩辛1.5%、韓国の塩辛3.1%であった。また、遊離アミノ酸に占めるグルタミン酸の割合は日本塩辛50%、韓国塩辛29%であった。さらに、日本の塩辛の主体的アミノ酸はグルタミン酸、韓国の塩辛はグルタミン酸、ロイシン、アラニンであった。(2)両国で日常的に食される塩辛のオリゴペプチドは日本塩辛 約0.2%、韓国塩辛 約1%であった。また、何れの塩辛のオリゴペプチドも構成アミノ酸の主体はグルタミン酸、ロイシン、アラニンであった。グルタミン酸の多いことはこれらのペプチドの一部が旨味のあるグルタミン酸オリゴペプチドであることを示唆している。以上の結果から日本人はグルタミン酸の旨味を特に好むが韓国人はグルタミン酸の旨味の他にペプチドの味も好むと考えた。 2.醤油、味噌の呈味成分と食嗜好 韓国の醤油と味噌は江原道、京畿道、全羅北道、全羅南道などで採取した。 (1)日本の醤油は遊離アミノ酸が韓国の醤油の約4倍であった。また、何れもグルタミン酸が多かった。日本の醤油のオリゴペプチドは韓国の醤油の約1/3倍であった。(2)日本の味噌は遊離アミノ酸が韓国の味噌よりやや少なかった。主体的アミノ酸は日本の味噌がグルタミン酸、アスパラギン酸、プロリン、韓国の味噌はグルタミン酸、ロイシンであった。日本味噌のオリゴペプチドは韓国味噌の約70%であった。以上の呈味成分の差異は塩辛の場合とほぼ同様であった。したがって、醤油と味噌の分析結果からも、日本人はグルタミン酸の旨味を特に好むが韓国人はグルタミン酸の旨味の他にペプチドの味も好むと考えられる。 3.官能検査による食嗜好の比較 20〜50才代の両国人男女をパネラーとして順位法で、塩辛エキス、鰹節エキス、昆布エキス、グルタミン酸ナトリウムなどについて官能検査を行った。また、塩辛エキスなどを混合した味噌汁についても同様な検査を行った。その結果、日本人はグルタミン酸ナトリウム、鰹節エキスの順で嗜好度が高かったが、韓国人は塩辛エキス、グルタミン酸ナトリウムの順で嗜好度が高かった。これらの嗜好順位に年齢差はほとんどなかった。以上の結果、グルタミン酸ナトリウムは両国人に好まれる旨味であることが明らかになった。しかし、韓国人はグルタミン酸の旨味の他に塩辛の成分、特にペプチドの味も強く嗜好すると考えられる。本結果は上述した呈味成分の比較研究(1、2)で得られた予測を裏付ける結果である。 4.両国の餅の比較 餅は両国共通の供物であるが、米粉を蒸して作る韓国の餅は日本に伝承した後、菓子に変容したと考えられる。

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