英語圏における多文化社会に関しての学際的比較研究-カナダ、アメリカ、イギリス、オーストラリアの多文化主義
研究課題情報
- 体系的番号
- JP09410048 (JGN)
- 助成事業
- 科学研究費助成事業
- 資金配分機関情報
- 日本学術振興会(JSPS)
科研費情報
- 研究課題/領域番号
- 09410048
- 研究種目
- 基盤研究(B)
- 配分区分
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- 補助金
- 審査区分/研究分野
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- 文学 > 心理学・社会学・教育学・文化人類学 > 社会学(含社会福祉関係)
- 研究機関
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- 東洋学園大学
- 研究期間 (年度)
- 1997 〜 1999
- 研究課題ステータス
- 完了
- 配分額*注記
- 7,000,000 円 (直接経費: 7,000,000 円)
研究概要
今年度は、科研費補助研究の最終年度に当たるため、研究分担者がそれぞれ個別研究をまとめる作業を行ってきた。同じ「多文化主義」という用語を用いてはいるが、カナダ、オーストラリア、アメリカ合衆国、イギリスでは、その言葉によって想起させられるイメージは大きくことなる。カナダではケベックとの共存によって「南の脅威(アメリカ合衆国)」に対抗しうる「建国理念」と「独立国家」としての安定を築き上げていく必要性が、また、オーストラリアにはアジアの経済圏の一角として国内のアジア人との共存の必要性が、多文化主義を国の政策として早くから取り入れた背景に見られる。それゆえ、両国においては、多文化主義は、国家統合政策として語られ、ナショナリズムの一つの形態として語られることが多い。これに対して、アメリカ合衆国においては、「多文化主義」はいまだに経済的不平等や、特定人種に対する嫌悪・偏見が根強く残る社会的現実の中で、移民政策や国家統合政策の問題として語られる以上に、「人種」を中心に問題化されてきた。アメリカの「建国理念」、ナショナリズムの質そのものが、構造的に不平等を再生産してきたとする根元的な問いがなされ、多文化主義は単なる多文化的現実を説明する用語としてよりは、既存の「知」のあり方(教育・研究)を問い直す動きとして位置づけられる側面も持つ。イギリスの場合は、第二次大戦以後の非白人移民の受け入れの結果生じた多文化状況の中で、旧植民地出身者への「市民権」承認の延長線上に多文化主義が成立しつつあると言える。またイギリスの多文化主義はイスラム系の存在によって、そのあり方を鋭く問われている。政治理念・規範・生活様式・言語において深くイギリス的伝統の影響を受けている英語圏の多文化社会を比較研究することにより、それぞれの国の多文化状況が抱えている課題をさらに検討し、研究成果の出版につなげたい。
詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1040282256664800768
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- KAKEN