カルコン合成酵素の生化学・化学的多様性
研究課題情報
- 体系的番号
- JP13480188 (JGN)
- 助成事業
- 科学研究費助成事業
- 資金配分機関情報
- 日本学術振興会(JSPS)
科研費情報
- 研究課題/領域番号
- 13480188
- 研究種目
- 基盤研究(B)
- 配分区分
-
- 補助金
- 審査区分/研究分野
-
- 複合領域 > 生物化学 > 生物有機科学
- 研究機関
-
- 静岡県立大学
- 研究期間 (年度)
- 2001 〜 2002
- 研究課題ステータス
- 完了
- 配分額*注記
- 15,100,000 円 (直接経費: 15,100,000 円)
研究概要
ポリケタイド合成酵素III型として理解が急速に深まりつつある、カルコン合成酵素(CHS)の遺伝子(chs)は高等植物において多くの場合マルチジーンファミリーを形成して存在し、その配列には植物種に基づく多様性と、機能の多様性が分かちがたく存在している。 本研究では、アサガオ、アサガオと同属のムラサキイモ、デオキシ型フラボンを生合成するコガネバナ、同一植物でスチルベン、カルコン両者を生成するダイオウ、夫々のカルコン合成酵素、カルコン合成酵素関連非カルコン合成酵素タンパク、スチルベン合成酵素を異種発現させ、各種非生理的プライマーを必要に応じて合成し、市販の各種CoAエステル共々上記のCHS関連タンパクで酵素反応を行い、生成物を同定した。するとこれまで想定されなかった多くの非天然型の芳香環を形成した生成物を得ることが出来た。 なかでも本研究ではじめてダイオウより得られたベンザルアセトン合成酵素(BAS>において、フェニルアラニン残基(ムラサキウマゴヤシのCHSで215番)がイソロイシンに置換しているだけで、新規触媒活性を獲得していることが明らかとなった。更に本酵素を用いて実験を行ったところ、メチルマロニルCoAを基質として天然には存在しないC6-C5型の化合物を生合成させることが出来た。しかしコガネバナ等のCHSでは上記残基を変異するだけではBAS活性を付与することは出来ず、在来知られている各種トリ、テトラケタイドの副次生成物が生じるに止まった。しかしながら、人工基質をスターター単位とした場合、これらは合成のしにくい新規オリゴケタイド化合物となり、結果として植物の遺伝的多様性を利用して、新規化合物のライブラリーを作成することが出来る可能性を示した。