子宮全摘出術を受けた成熟期以降の女性のセクシュアリティに関する基礎的研究
研究課題情報
- 体系的番号
- JP13837029 (JGN)
- 助成事業
- 科学研究費助成事業
- 資金配分機関情報
- 日本学術振興会(JSPS)
科研費情報
- 研究課題/領域番号
- 13837029
- 研究種目
- 基盤研究(C)
- 配分区分
-
- 補助金
- 審査区分/研究分野
-
- ジェンダー
- 研究機関
-
- 東海大学
- 研究期間 (年度)
- 2001 〜 2003
- 研究課題ステータス
- 完了
- 配分額*注記
- 3,000,000 円 (直接経費: 3,000,000 円)
研究概要
本研究は、子宮の全摘出術を受けた35歳の女性からの電話相談を契機に、子宮全摘出術を受けた女性たちの身体的・精神的・心理社会的な側面からの情動変化(不安や苦痛)と、その変化の引き金が夫婦間でのセクシュアリティの認識のズレから生ずるものであるかを測定する尺度開発を目的として3年計画で始めた。 1年目は、子宮全摘出術した女性たちの情動変化を把握するため、全国ではじめて発足した子宮・卵巣がんの患者会の女性たちを通して情報収集を行った。その結果から、手術決定までの情動変化は身体的よりも精神的な面で強くみられた。また社会的な要因としては、夫よりも実母の言動と医療者の対応が大きく情動変化に影響することがわかった。特に、医療者から「もの」としての扱いを受け、その冷たい言動に手術後に至っても心身ともに回復できない状況にある女性たちが存在することが明らかとなった。 2年目は、患者会メンバーに対するアンケート調査を実施したが、回収率が低く有効回答を得ることができなかった。そこで、研究協力を得られた患者会メンバーに対し面接調査を行った。その結果、パートナーである夫の同席で協力が得られた一事例を通して、夫婦間のセクシュアリティに関するズレを分析した。(神奈川母性衛生学会にて発表) 3年目は、患者会での協力が困難となったため、子宮がんから子宮筋腫と診断され、子宮全摘出術を受けた女性を対象に面接調査を行った。調査内容は、がん患者と同様としたが、手術決定までの行動にがん患者との違いがあった。子宮筋腫と診断されてから手術までの期間が、がん患者と異なり非常に長い期間を要していた。このことは、生命の危険が直接的にはないとのことが考えられるが、現実的には日常生活において多量な月経血量による貧血が生じ、支障を来たしてはいた。しかし、情動変化は、手術後の一過性の痛みによる苦痛以外は、にプラスに転向していることが明らかとなった。 夫婦間の認識のズレは、お互いを思いやるがために言葉として表出しないことが双方の誤解を生じ、徐々にズレが大きくなっていることが明らかになった。