幕末期科学技術史に貢献したる学者・職人の著作物に関する研究
研究課題情報
- 体系的番号
- JP14023227
- 助成事業
- 科学研究費助成事業
- 資金配分機関情報
- 日本学術振興会(JSPS)
- 研究課題/領域番号
- 14023227
- 研究種目
- 特定領域研究
- 配分区分
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- 補助金
- 審査区分/研究分野
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- 人文・社会系
- 研究機関
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- 青山学院女子短期大学
- 研究期間 (年度)
- 2002 〜 2005
- 研究課題ステータス
- 完了
- 配分額*注記
- 17,800,000 円 (直接経費: 17,800,000 円)
研究概要
本研究では主に次の4部門から研究を進めた。 1.19世紀中国科学技術史研究:幕末期から明治初期にかけよく読まれた科学書・医学書の著者であるBenjamin Hobson(1816-1873)の研究を、本年度も引き続き、英国Wellcome Libraryに所蔵されるホブソン文書から実施し、ホブソンの中国観や翻訳観についての知見を得た。 2.川本幸民研究:蕃書調所の教授職を務め、薩摩藩の島津斉彬で翻訳も行った川本幸民(1810-1871)の著訳書の研究として、本年度は川本家から北海道大学に戦後、寄贈された図書の現存状況を調べ、過半が附属図書館に所蔵されていることを確認した。また、A.Ypeyの翻訳「依百乙人身究理」が第三者による筆写本であるが、「菲失*[水部+矢]羅義」の題で日本大学医学部図書館に所蔵されていることを確認した。 3.上野俊之丞研究:江戸後期の長崎で精密機器の製作・修理・輸入にあたった御用時計師、上野俊之丞(1790-1851)の調査研究として、俊之丞の著作物のうち最もよく読まれた「砲家秘函」を、これまであまり知られていなかった高知市民図書館・徳弘家資料にある筆写本について調べ、本書が度量衡のみならず測量も扱っていることを確認した。 4.大工術の研究:江戸期に洗練された建築技術書の元である中国伝来の技術書「営造方式」の他に、生活に密着した建築知識をまとめた「魯班経」が伝来した可能性を、建築史資料の検索、山口県、宮城県で調査したが見いだせなかった。そこで大工以外の者による幅広い意味での建築知識の伝来を検討することにし、京都萬福寺の黄檗宗が福建省からの建築空間・造形の伝来を成し遂げた方法に注目し、造営資料や隠元和尚の資料や技術者について調査した結果、環境的知識や宗教行事空間に関する知識が黄檗僧により伝えられたことを見いだした。