古生代末2段階大量絶滅の研究:G-L境界とP-T境界事件
研究課題情報
- 体系的番号
- JP16204040 (JGN)
- 助成事業
- 科学研究費助成事業
- 資金配分機関情報
- 日本学術振興会(JSPS)
科研費情報
- 研究課題/領域番号
- 16204040
- 研究種目
- 基盤研究(A)
- 配分区分
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- 補助金
- 審査区分/研究分野
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- 理工系 > 数物系科学 > 地球惑星科学 > 層位・古生物学
- 研究機関
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- 東京大学
- 研究期間 (年度)
- 2004 〜 2007
- 研究課題ステータス
- 完了
- 配分額*注記
- 47,060,000 円 (直接経費: 36,200,000 円 間接経費: 10,860,000 円)
研究概要
4年間の研究期間において、南中国四川省北部、九州高千穂地域、およびクロアチア、ベレビット山地での野外調査および国内での室内分析を行った。その成果として、以下の事が明らかになった。1)G-L境界での1回目の絶滅が起きる直前に海水中の炭素同位体比が異常に高くなる期間が500万年間以上続くことを世界で初めて発見し、調査地にちなんでKamura event(上村事件)と命名した。当時の海洋における生物基礎生産量の増大およびそれに伴う大気中の二酸化炭素の大量消費が起きたことが記録されており、温室効果の低下によるグローバルな寒冷化がおきたと推定される。2)当時の赤道域の浅海で繁栄した、大型フズリナやサンゴに加え、特殊な巨大二枚貝化石(Alatoconchidae)群集の消長・絶滅パタンを解明した。いずれもペルム紀中期末におきたグローバル寒冷化によって絶滅したが、その原因は、3者が共通にもっていた適応戦略である光合成共生系の崩壊であったと考察される。3)Sr同位体比の経年変化を分析し、過去5.5億年間での最低値がペルム紀中期末に起きた事を明らかにした。その後、値が急上昇することから、この時に超大陸パンゲアの最初期分裂が開始したこと、すなわちG-L境界事件が超大陸分裂に関係していたことを示した。4)P-T境界での2回目の絶滅時に頻繁に珪長質火山活動がおきたことを南中国で示し、その鉱物学的特性からマントルプルーム起源のマグマ活動であったことを示した。これらの新データは、研究代表者がかねてから考察してきた「プルームの冬」仮説を一部実証した。以上の成果は、いくつかの世界初の発見や指摘を含んでおり、すでに31編の学術論文(査読付き国際誌28編及び書籍3冊)として公表された。また2006-2007年度には海外で開かれた国際会議・学会において、3度のキーノート講演を含む6回の口頭発表を行った。