柔道整復師等の急増に伴う医療サービス分布不均衡性の変化に関する研究
研究課題情報
- 体系的番号
- JP16659164 (JGN)
- 助成事業
- 科学研究費助成事業
- 資金配分機関情報
- 日本学術振興会(JSPS)
科研費情報
- 研究課題/領域番号
- 16659164
- 研究種目
- 萌芽研究
- 配分区分
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- 補助金
- 審査区分/研究分野
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- 生物系 > 医歯薬学 > 社会医学 > 公衆衛生学・健康科学
- 研究機関
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- 帝京大学
- 研究期間 (年度)
- 2004 〜 2005
- 研究課題ステータス
- 完了
- 配分額*注記
- 3,200,000 円 (直接経費: 3,200,000 円)
研究概要
柔道整復師と整形外科医はその業務内容が一部重複する。柔道整復師は近年増加し、整形外科医より患者を奪っているとの主張がある。そこで、両者の競合の可能性を検討するため、老人健康保険の対象者を中心に医師を受診した筋骨格系及び結合組織の疾患総患者数と柔道整復師の施術を受けた患者数の関係を調べた。 各都道府県の柔道整復師施術所数はインターネットタウンページ(2002年9月-11月)より、柔道整復師受診老人患者(以下、柔整老人患者)数は老人医療月報(2002年10月分)より、整形外科医師数は医師、歯科医師、薬剤師調査(2002年)より、医師受診筋骨格系及び結合組織の疾患の老人総患者(医師受診老人筋骨格系患者)数は患者調査(2002年)より求めた。柔道整復師施術所数、柔整老人患者数、整形外科医師数、および医師受診老人筋骨格系患者数は都道府県人口10万人あたりの値に直し、それぞれ柔道整復師施術所率、柔整老人患者率、整形外科医師率、医師受診老人筋骨格系患者率として相互の関連を調べた。 それぞれの人口10万人あたりの中央値は、柔道整復師施術所数16.3(最小-最大4.4-55.4)、柔道整復師施術老人患者数2515人(同379-8796)整形外科医15.3人(同9.3-22.3)、医師受診腰痛総患者12260人(同9170-16750)であった。都道府県(n=47)を単位とした柔道整復師施術所率と柔整老人患者率には有意な正の相関があった(r=0.72、p<0.01)。一方、整形外科医師率と医師(その約6割が整形外科医)受診老人筋骨格系患者率の間に有意な関連は見られなかった(r=0.14、p=0.35)。また、柔整老人患者率と医師受診老人筋骨格系患者率にも有意な関連は見られなかった(r=0.03、p=0.85)。 全国都道府県間において、柔道整復師が整形外科医と競合している場合に予想される柔整老人患者率と医師受診老人筋骨格系患者率間に負の相関は観察されなかった。従って、筋骨格系疾患の患者について医師と柔道整復師が競合しているという説は支持されなかった。