HBZトランスジェニックマウスにおけるATL癌幹細胞の同定と分子基盤の解明
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- 水上 拓郎
- 研究代表者
- 国立感染症研究所
研究課題情報
- 体系的番号
- JP16K09833 (JGN)
- 助成事業
- 科学研究費助成事業
- 資金配分機関情報
- 日本学術振興会(JSPS)
科研費情報
- 研究課題/領域番号
- 16K09833
- 研究種目
- 基盤研究(C)
- 配分区分
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- 基金
- 審査区分/研究分野
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- 生物系 > 医歯薬学 > 内科系臨床医学 > 血液内科学
- 研究機関
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- 国立感染症研究所
- 研究期間 (年度)
- 2016-04-01 〜 2020-03-31
- 研究課題ステータス
- 完了
- 配分額*注記
- 4,680,000 円 (直接経費: 3,600,000 円 間接経費: 1,080,000 円)
研究概要
HTLV-1はT細胞に感染し,ヒトT細胞白血病 (ATL) を発症するレトロウイルスである。近年,CCR4抗体であるMogamulizumab等の開発がなされているが,いまだに化学療法等に関し予後が悪い。我々は,ATLにおいて癌幹細胞の存在を想定し,Taxをマウスに導入したTax-Tgモデルマウスの腫瘍細胞より,薬剤抵抗性を示す癌幹細胞候補(ATLSCs)を同定した。本研究課題では,さらにHBZ-Tgモデルマウスにおいても同様のATLSCsを同定し,それがc-kit-SCFシグナリングにより制御され,また癌幹細胞微小環境として,特殊なサイトカイン状況を生み出していることを発見した。
本研究課題により,HTLV-1の2つの遺伝子TaxとHBZによって誘導されたATL細胞において,ATL癌幹細胞(ATLSCs)特性をもった細胞が存在していることin vivoで証明した。特に,共通して発現するc-kit/SCFシグナリングを抑制することで,ATLの進展を抑えることを明らかにし,ATLSCsを標的とすることで,新規治療法の開発に応用可能であることが示唆された。また,ATLSCsの維持に関し,特殊なサイトカイン環境が形成されていることを突き止め,このような微小環境を標的とした治療法の開発も可能であることを示した。