老化細胞クリアランス機構の解明による「老い」の分子基盤の構築
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- 城村 由和
- 研究代表者
- 東京大学
研究課題情報
- 体系的番号
- JP16K15238 (JGN)
- 助成事業
- 科学研究費助成事業
- 資金配分機関情報
- 日本学術振興会(JSPS)
科研費情報
- 研究課題/領域番号
- 16K15238
- 研究種目
- 挑戦的萌芽研究
- 配分区分
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- 基金
- 審査区分/研究分野
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- 生物系 > 医歯薬学 > 基礎医学 > 病態医化学
- 研究機関
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- 東京大学
- 研究期間 (年度)
- 2016-04-01 〜 2019-03-31
- 研究課題ステータス
- 完了
- 配分額*注記
- 3,640,000 円 (直接経費: 2,800,000 円 間接経費: 840,000 円)
研究概要
老化細胞では、マクロファージによる貪食に重要なホスファチジルセリンのフリッパーゼ遺伝子であるATP11Cの発現減少が認められた。しかし、ATP11C、および関連遺伝子ATP11A・Bの過剰発現・発現抑制でも、老化細胞におけるホスファチジルセリンの膜表面への露出には大きな影響を認められなかった。さらに、フリッパーゼの機能に必須であるカルシウムシグナルの阻害では老化細胞におけるホスファチジルセリンの膜表面への露出は抑制できなかった。これらの結果は老化細胞におけるホスファチジルセリンの膜表面への露出にはこれまでに報告とは全く異なるメカニズムが存在する可能性が考えられた。
細胞老化は、恒久的増殖停止を特徴とする細胞表現で、抗腫瘍機構として作用する。最近、早老症モデルマウスから老化細胞を人工的に除去すると、「老い」の進行が遅延することが報告され、細胞老化が個体老化の主な原因であることが示された。しかし、加齢に伴い老化細胞が蓄積する機構は不明である。本研究では、貪食シグナルとなるホスファチジルセリンが老化細胞の膜表面に露出する事を見出したが、未知のメカニズムにより制御されることが分かった。今後、その詳細なメカニズムを解明することで、老化細胞の貪食が個体老化や加齢性疾病発症に与える影響を明らかにできると考えられる。