暴力発生メカニズムの実証的検討―暴力への潜在的態度の影響力-
研究課題情報
- 体系的番号
- JP16K17299 (JGN)
- 助成事業
- 科学研究費助成事業
- 資金配分機関情報
- 日本学術振興会(JSPS)
科研費情報
- 研究課題/領域番号
- 16K17299
- 研究種目
- 若手研究(B)
- 配分区分
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- 基金
- 審査区分/研究分野
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- 人文社会系 > 社会科学 > 心理学 > 社会心理学
- 研究機関
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- 東北大学
- 追手門学院大学
- 研究期間 (年度)
- 2016-04-01 〜 2019-03-31
- 研究課題ステータス
- 完了
- 配分額*注記
- 2,470,000 円 (直接経費: 1,900,000 円 間接経費: 570,000 円)
研究概要
本課題では,暴力への潜在的態度の観点から,暴力行為の発生メカニズムを明らかにすることを主目的として一連の検討を行った。研究の結果,主に暴力への潜在的態度が将来の反応的暴力を予測すること(研究1),暴力と不快との潜在的な連合が弱いほど,怒りを感じた相手に暴力的な思考を向け,敵意を知覚すること(研究2),そして顕在的要因として,親密な相手への支配欲求が暴力の発現に関与する可能性が示唆された(研究4)。一方,暴力行為の測定に用いたVoodoo Dall課題では,潜在的態度の影響がみられなかった(研究2,3)。この点に関しては,暴力行為をより精度よく測定する手法を検討するなど今後の改善が必要である。
本研究では,暴力への潜在的態度(暴力と不快との連合が弱いほど)が,将来の反応的・衝動的暴力を予測すること,怒りを感じた相手への暴力的思考や敵意の知覚を促進することを明らかにしてきた。すなわち,暴力の発現に暴力への潜在的態度が関与する可能性が,一部支持されたと考えられる。これらの結果は,既存の暴力研究に新たな知見を加える点で学術的に意義あるものと考えられる。また,今後の一層の検討が求められるものの,本研究の知見は,例えば,暴力犯罪の加害者の教育的介入の施策を考える上での足掛かりになると期待される。その意味で,社会的意義のある成果であると考えられる。