近代日本における戦時精神医療体制―国府台陸軍病院と傷痍軍人武蔵療養所を中心に
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- 中村 江里
- 研究代表者
- 慶應義塾大学
研究課題情報
- 体系的番号
- JP16K21658 (JGN)
- 助成事業
- 科学研究費助成事業
- 資金配分機関情報
- 日本学術振興会(JSPS)
科研費情報
- 研究課題/領域番号
- 16K21658
- 研究種目
- 若手研究(B)
- 配分区分
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- 基金
- 審査区分/研究分野
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- 人文社会系 > 人文学 > 史学 > 日本史
- 総合系 > 複合領域 > 科学社会学・科学技術史 > 科学社会学・科学技術史
- 研究機関
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- 慶應義塾大学
- 一橋大学
- 研究期間 (年度)
- 2016-04-01 〜 2019-03-31
- 研究課題ステータス
- 完了
- 配分額*注記
- 4,160,000 円 (直接経費: 3,200,000 円 間接経費: 960,000 円)
研究概要
本研究では、戦時精神医療の中核を担った国府台陸軍病院及び傷痍軍人武蔵療養所の診療録(病床日誌)のアーカイブズ整備を進めた上で、両機関で最も多かった「精神分裂病」患者の診療録を中心に分析を進めた。軍隊や病院・療養所における患者の処遇だけでなく、患者と家族の関係や患者の自己認識など「患者の歴史」にも光を当てることができた。
本研究が主に分析する診療録には、(1)兵役免除や恩給に関わる軍の行政文書、(2)医学の疾病解釈、(3)患者の言葉や家族との通信などが含まれており、戦時精神医療の構造と実態を重層的に分析することが可能である。戦時期の医療記録の生成過程には、軍隊や医学の持つ権力性が大きく影響しているが、一方で、自ら記録を残すことが少なかった患者たちの言動が記されており、「患者の歴史」を切り拓く可能性を持つ史料でもある。 また、本研究では、人文・社会科学研究者のアクセスが困難であった、医療機関が保存する診療録のアーカイブズ整備を行い、終戦時に大量の公文書が焼却された中で残された貴重な記録の長期的な保存にも貢献した。