共生微生物の感染は染色体分化・生殖隔離を促進するか?:短翅性バッタにおける検証
研究課題情報
- 体系的番号
- JP17H03722
- 助成事業
- 科学研究費助成事業
- 資金配分機関情報
- 日本学術振興会(JSPS)
- 研究課題/領域番号
- 17H03722
- 研究種目
- 基盤研究(B)
- 配分区分
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- 補助金
- 審査区分/研究分野
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- 生物系 > 生物学 > 基礎生物学 > 生物多様性・分類
- 研究機関
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- 九州大学
- 琉球大学
- 研究期間 (年度)
- 2017-04-01 〜 2022-03-31
- 研究課題ステータス
- 完了
- 配分額*注記
- 17,160,000 円 (直接経費: 13,200,000 円 間接経費: 3,960,000 円)
研究概要
これまでの研究から,染色体と配偶行動に多様な変異を示すサッポロフキバッタには,性を操作する共生微生物Wolbachiaの感染が確認され,少なくとも3タイプの変異体が存在していることが明らかになっている.そこで北海道各地から採集したサンプルについて,Wolbachiaの感染状況の把握と感染している変異体を分子遺伝学的に調査した.その結果,調査した標本について,Wolbachiaに感染していない個体は見つからなかった.また3タイプの変異体のうち,最も感染頻度が高い1つの変異体に多くの個体が感染していた.また変異体タイプと染色体変異との間に関連性は見いだせなかった.
今回の研究から明らかになった染色体に存在する遺伝子の違いが,どのように個体の生存・繁殖に影響するのか,また遺伝子の違いを手がかりに新たな核型を持つ集団が誕生し,分布を拡大できた理由を究明することが必要である.また今回発見された染色体上の塩基配列変異は,時にゲノムの不安定化を招き,がんなどの病気の原因にもなり得ることが指摘されている.本研究は生物多様性の解明といった問いに目が向けられているが,得られた知見は難病の治療といった分野にも成果が役立てられるかもしれず,今後も多角的な視点から研究を進める必要があると考えている.