中国古典文献における井戸の諸相――道具・しぐさを手がかりに――
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- 喜多 藍
- 研究代表者
- 青山学院大学
研究課題情報
- 体系的番号
- JP17K13433 (JGN)
- 助成事業
- 科学研究費助成事業
- 資金配分機関情報
- 日本学術振興会(JSPS)
科研費情報
- 研究課題/領域番号
- 17K13433
- 研究種目
- 若手研究(B)
- 配分区分
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- 基金
- 審査区分/研究分野
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- 人文社会系 > 人文学 > 文学 > 中国文学
- 研究機関
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- 青山学院大学
- 明星大学
- 研究期間 (年度)
- 2017-04-01 〜 2023-03-31
- 研究課題ステータス
- 完了
- 配分額*注記
- 3,250,000 円 (直接経費: 2,500,000 円 間接経費: 750,000 円)
研究概要
本研究では、中国古典文学における井戸の描写、およびそれにまつわる道具や、井戸の周囲などを「めぐる」という行為を主な検討材料とし、民俗学的視点から、古代中国の人々がそれらの場所・道具・行為をどのようなものと認識し、如何にその象徴性を詩歌などに反映させたかを考察した。本研究により、少なくとも唐代までの詩歌において、井戸・釣瓶・轆轤・何かの周囲をめぐる行為など、場所や道具、儀礼に対して、共通してある観念が存在したことを明らかに出来るとの見通しを示した。
従来の中国古典詩の研究では、「士」(教養人)の文学として「民」とは切り離したところでその思想性・文学性を問うことが主流であったが、本研究では「民」も含めた中国の生活文化を、思想書・文学書など文献を幅広く調査するにとどまらず、中国の出土文物、現代中国の民俗調査結果、日本民俗学の研究成果を取り込みながら解明した上で、唐詩に新解釈を加える方法を採用した。中国古典詩を研究対象としつつ文言小説(散文)との関係、日本文学や昔話の話型をも視野に入れて、立体的な把握を行い、中国古典詩の研究と中国民俗学・考古学を繋ぎ中国少数民族や日本をも比較対照とした本研究は今後のアジア研究の新しいモデルを提示するものである。