大学における科学的根拠に基づく発達障害者への合理的配慮-当事者と周囲との合意形成
研究課題情報
- 体系的番号
- JP18H01090 (JGN)
- 助成事業
- 科学研究費助成事業
- 資金配分機関情報
- 日本学術振興会(JSPS)
科研費情報
- 研究課題/領域番号
- 18H01090
- 研究種目
- 基盤研究(B)
- 配分区分
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- 補助金
- 審査区分/研究分野
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- 小区分10030:臨床心理学関連
- 研究機関
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- 九州大学
- 研究期間 (年度)
- 2018-04-01 〜 2023-03-31
- 研究課題ステータス
- 完了
- 配分額*注記
- 17,160,000 円 (直接経費: 13,200,000 円 間接経費: 3,960,000 円)
研究概要
発達障害への合理的配慮を促進するために、科学的根拠に基づいた合理的配慮内容の妥当性の検討を行った。試験場面における試験時間延長という合理的配慮について、定型発達学生と発達障害学生との比較した。その結果、発達障害学生においては、言語理解が高い,認知的柔軟性が低いといった認知機能の特性や,変化への脆弱性,意図理解の困難,こだわり・強迫といった困り感がある場合には試験時間延長が有効であるということが示された。今後は、対象者がどの程度の試験時間が必要なのかを実験的に検討することにより,延長時間の量の根拠について知見の蓄積を行い、テストアコモデーションの必要性を示すことが課題である。
障害者差別解消法の施行により、大学入学から修学を経て就労に至る多様な教育場面において、障害学生への合理的配慮が求められている。このうち最も配慮内容の妥当性が問われる場面である大学入学試験と修学時の定期試験の評価において、発達障害への合理的配慮に関する我国の研究は立ち遅れている。発達障害への配慮の妥当性に関する科学的根拠資料に関する研究の蓄積は皆無に近いなか、合理的配慮の実践について、テスト・アコモデーションという新たな研究領域の先駆的位置づけとなったところに学術的意義がある。さらに、特別支援教育や障害者権利条約の理念に対する社会的認知を定着するための学術的知見として社会的に意義がある。